形状解析では,通常,同種類の形状を表す輪郭線との対応がつけられたランドマークと呼ばれる有限個の標本点を用いてその形状を解析する.そのため,形状解析する輪郭線上にランドマークが配置されていなければ,ランドマークを輪郭線上に適当に配置する必要がある. ランドマークの配置方法は,形態上の意味を考慮する方法,曲率などの幾何学的な特徴を考慮する方法,それらに当てはまらない方法の3つに分類される.形態上の意味は輪郭線の表す形状についての専門的知識を必要とするので,誰もが適当に選べるわけではない.また,輪郭線が向きづけられていない場合などは,曲率などの幾何学的特徴を計算できないので,いつも幾何学的特徴を考慮できるわけではない. 平成24年度は,そのような専門知識や輪郭線の向きなどを必要とせず,同種類の形状を表す複数の輪郭線にランドマークを適当に配置する方法について研究を行った.この研究で提案する方法では,同種類の輪郭線には典型的形状が存在するということを仮定し,複数の輪郭線を重ねたときの密度を考慮した最適化問題を解くことにより,その典型的形状のランドマーク配置を推定する.推定したランドマーク配置は元の複数の輪郭線にランドマークを配置する際に参照される.この方法によって得られるランドマーク配置は,形状の分類という意味で効果的であることを,数字の輪郭線を用いた計算機実験により示した.この研究成果は,パターン認識分野の代表的な国際会議であるICPRで発表しており,現在はさらに発展させた成果を雑誌論文投稿に向け編集中である.
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