装置への体の接触や特別な動作を必要とせず、比較的離れた場所から対象者の照合を行うことができる顔認証システムの開発が望まれている。本研究では、ステレオビジョン技術とホログラフィックメモリを利用して、高い識別能力を有し、さらに高速に処理可能な顔認証システムの開発を目指した研究を行った.さらに、位相コード暗号方式を採用し、暗号復号処理を光情報処理で行うことにより個人データの高い保護機能と処理の高速性を実現している。 本システムでは、データベース内の顔画像とカメラから取得された顔画像の照合を、光学的相関器により高速に行っている。2次元画像の相似に基づいて識別を行うため、高い識別能力を発揮するためには、カメラに対する顔の向きを高い精度で合わせることが必要である。ただし、使用する環境を考えた場合、常に等しい方向に顔を向けて撮影することは難しく、認証率を向上させることが困難であった。本研究では、ステレオカメラにより顔の形状を測定し、正面から見た顔画像をコンピュータグラフィックにより再現する機能を組み入れた。Haar likeフィルタにより顔らしい位置を推定し、パターンマッチング法により目尻、口角の位置を特定することにより顔の位置および顔の向きを推定・補正を行う。本機能により、カメラに対して上下10度の範囲で顔の向きを変化させて撮影した場合であっても、ほぼ同様の正面を向いた顔画像を生成することを可能とした。このように作成された顔画像を用いることにより、0.3%程度の低いエラーレートで照合が可能となることを示した。
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