研究概要 |
実験車両で記録した運転データを用いて,ブレーキ操作の危険性を評価する手法について検討した.運転者のブレーキペダル操作パターンには,ペダルの踏み込み方と緩め方の速さの大小の組み合わせで,大きく分けて4つのパターンがあると仮定し,ブレーキ操作時の加速度の約6秒に亘る時系列信号を,(A)踏み込みと踏み戻しが共に急な危険なブレーキ,(B)踏込みが急で踏み戻しが緩やかな強く長いブレーキ,(C)踏込みが緩やかでその後加速する状況を予測したブレーキ,(D)踏み込みと踏み戻しが共に緩やかな比較的安全なブレーキの4種類にLBGアルゴリズムを用いてクラスタリングを行った.これらのうち一番危険なブレーキパターンはAであり,一番安全なパターンはDであると考えられる.そこで,全てのブレーキ操作信号のパターンDとの距離の総和や,踏み込みが急なパターンA,Bに分類されるブレーキ操作の全体に対する割合,また,一般的なブレーキ操作パターンからの乖離度,ブレーキ操作パターンの個人内でのばらつき(分散)などの尺度で運転者のブレーキ操作の危険性,荒さ,特異性,不安定性を評価し,ドライバのブレーキペダル操作行動を様々な観点から評価できることを確認した.また,アクセル操作の危険性評価手法についても検討した.1分ごとの最大前方向加速度とそのときの速度の値を2次元平面にプロットし,その分布を直線で近似した.ここで,y切片は発進時の加速の特徴を表わし,x切片はその運転者が好む速度に対応すると仮定し,x,y切片の大きさでドライバのアクセル操作の危険性を評価する手法を提案した.これにより,y切片が大きい場合は急発進を頻繁に行うドライバ,x切片が大きい場合は走行中に急加速を頻繁に行うドライバ,x,y切片が共に大きい場合は急発進・急加速を共に頻繁に行うドライバであると診断することが可能となった.
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