研究概要 |
前年度に引き続き,多種センサを搭載した実験車両を用いて運転データの収集を行うとともに,ドライバのハンドル操作の自動リスク評価手法について検討した.また,専門家による同一ドライバのリスク評価結果との比較により提案手法の評価を行った.ハンドル操作のリスク評価には,実験車両で記録された左右方向加速度と車速度を用いた.まず,ドライバのハンドル操作時の車両挙動を円運動として近似し,運動方程式に基づいて,その曲率半径を左方向加速度あるいは右方向加速度と車速度から推定した.ハンドル操作の危険性の判断は,道路構造令第15条に定められている道路の設計速度と車道の曲率半径の関係に基づいて行った.これらの関係に基づき,急ハンドルを検出するための閾値曲線を定め,各時刻のハンドル操作における速度と推定された曲率半径の関係を表わす点のうち,閾値曲線の外側に分布する点を急なハンドル操作とみなした.安全なハンドル操作を行うドライバであれば,これらの点が閾値曲線の内側に多く分布するのに対し,危険なハンドル操作を行うドライバは,曲線からはみ出す点の割合が相対的に大きくなると考え,全走行時間に対する急なハンドル操作の割合によってドライバのハンドル操作の危険性を定量化してリスク評価を行った.前年度に行ったアクセルペダル操作のリスク評価手法と,本年度のハンドル操作のリスク評価手法について,それらの有効性を確認するために,同一ドライバに対してリスクコンサルティングの専門家に運転の危険性を評価してもらい,提案手法によるリスク評価結果と比較した.その結果,アクセルペダル操作のリスク評価結果,ハンドル操作のリスク評価結果ともに,リスクコンサルティングの専門家による5段階評価との間に相関があることがわかり,提案手法の有効性が確認された.
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