研究概要 |
本研究課題の目的は,環境に応じて認識性能を変化させることのできる環境適応型の画像認識技術の実現である.本研究課題では環境適応型の画像認識技術を,(i)カメラ映像から動的に学習サンプルを収集する仕組み,(ii)物体検出器・認識器を適応的に更新する仕組み,の2つの枠組みで捉え,これらを解決する要素技術の開発を行っている. 平成23年度は,平成22年度に開発した車載カメラ映像を用いた道路環境認識技術を発展させ,剛体物体である標識,および非剛体物体である歩行者,を対象として研究を行った.具体的には,(a)車載カメラで撮影した道路標識(歩行者)データベースの拡充,(b)見えの変化の連続性を考慮した学習サンプルの動的な収集技術の高度化,(c)物体検出器を環境に合わせて動的に更新する技術,に関する研究を行った.(a)に関しては,平成22年度に構築した標識を撮影した車載カメラ映像の規模を拡大し,数千フレームの映像に対して標識の位置を手作業で入力した.また,歩行者を撮影した車載カメラ映像データベースの構築に関する検討を行い,小規模なデータベースの構築を行った.(b)に関しては,平成22年度に提案した,自車の走行にともない道路標識や看板が徐々に自車に近づくという特徴を利用した学習サンプルの自動収集手法を発展させ,さまざまな種類の標識を収集可能な技術を開発した.また,収集したサンプルから生成型学習の枠組みを用いることで,新たなサンプルを生成する技術に関する検討も行った.(c)に関しては,オンライン学習の手法を複数検討し,学習サンプルが得られると同時に検出器を短時間で再学習できる枠組みの検討を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成22年度および平成23年度の計画で予定していた,道路標識検出器の性能を環境に合わせて最大化する環境適応型画像認識技術の基礎技術は実現できており,構築した標識映像データベースによりその有効性を確認している.また,その成果は論文誌で発表を行っている.また,平成23年度は道路標識で培った技術の歩行者検出への応用に加え,オンライン学習を利用した物体検出器を環境に合わせて動的に更新する技術の初期検討も行えている.これらのことから,研究開発は当初の予定通り進んでいる.
|
今後の研究の推進方策 |
半成24年度は,本研究課題で開発した環境適応型の画像認識技術の性能評価に必要不可欠なデータベースの拡充を進めるとともに,平成22年度および平成23年度に開発した剛体物体を対象とした環境適応技術を非剛体物体である歩行者を対象とした検出器の環境適応へと発展させる.また,本研究課題で開発したプログラムのソースを広く世間に公開し,多くの人が利用できる環境を整える.
|