研究概要 |
本研究では,人間の意図には分節性があると考え,ヒトの行動文節をあらかじめ作られたロボットの行動分節に対応づけることによって多自由度なロボットを低自由度な操縦桿で操縦する手法を提案し,確立することを目標としている.この対応付けのためのヒトとロボットの行動文節の関係は,あらかじめ用意した行動分節に従ったロボットの動作を見ながら,自分が操縦しているつもりになって操縦桿に意図を入力させ,この対応を利用することで取得する.このヒトとロボットの行動分節の対応関係を取る課程で得られたデータから,人間の行動文節(操縦桿入力)が過去の行動の履歴に依存することを確認した.また,この履歴が分節単位で依存している事が分かった.これにより,履歴を利用することで,操縦に不足している自由度を補うことができると考えられる.また,この対応関係を取る際は,これを容易にするためにロボットの分節の切り替わるタイミングを音により提示していた.この音が人間の行動意図に分節性を与えているのではなく,音が無くとも人間の行動意図には分節性があることを確認するために,この音を提示せずにヒトとロボットの行動分節の対応関係を取り,入力のタイミングなどを観察した.その結果,音を提示せずとも人間の入力動作は分節性を持っている事が確認できた.これらのことから,本手法の要である人間の意図の分節性が確認できた.また,本研究では入力装置に意図が反映されていることが重要となる.これを明らかにするために,異なる同自由度の入力装置を用いて,ヒトとロボットの行動文節の対応関係を見たところ,履歴に依存する行動文節が一致しており,入力装置によって入力の傾向が異ならなかったため,本手法が入力装置に依存せず,意図が入力装置に反映されていることが確認できた.
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