研究概要 |
本研究では,人間の意図には分節性があると考え,ヒトの行動文節(行動意図)をロボットの行動分節に対応づけることによって,多自由度なロボットを低自由度な操縦桿で操縦する手法を提案している.ヒトとロボットの行動文節の対応関係は,分節化されたロボットの動作を組み合わせた動作列を予め用意し,それを観察しながらその動作列を十分に記憶し,自分が操縦しているつもりになって操縦桿に入力することによって取得する. ロボットの動作と操縦桿入力の対応は多くの場合1対1対応に対応していたが,ロボットの動作が同等であっても,1-3分節前のロボットの動作が異なっていた場合,現在の操縦桿入力が変化している例があった.この例は,操縦桿の形状を変化させた場合でも同様の状況で再現したことから,操縦桿の形状が異なっていても同様の意図をもって入力されていると考えられ,本手法で期待されている様に行動意図が操縦桿入力に反映されていることが確認できた. また,同じ動作に対して様々な速度でロボットを動作させることを考え,ロボットの動作に対して操縦桿入力が時間方向の伸縮するだけなのか,もしくは行動意図が変化し入力も変化するのかどうか調べた.その結果,観察するロボットの動作が速くなるに従い,ヒトが認識する分節の数が減少し,行動意図が変化することが分かった. さらに,これまでこの対応関係を取得するために時間が多く掛かっていた.これまでの実験を通じて,既に覚えていた動作や覚えやすい動作を用いることによって,この時間が大幅に減少したこととから,多くの時間を動作列の記憶に要していたことが確認できた.
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