研究概要 |
本研究では,人の全身運動に潜む個性を効率的に捉える新しい情報処理技術の確立を目的としている.この枝術を確立することにより,近年実用化への期待が高まる,筋電位を利用して身体機能を補助・強化するロボットスーツや,脳から読み取られる情報を基に代替の身体としてロボットを操作するブレインマシンインターフェースの性能を飛躍的に向上させることが期待される.平成22年度では,個性を捉える低次元表現に基づく動作時系列データの生成モデル化と未知データからその個性を実時間で効率的に推定するアルゴリズムの開発に重点を置いて研究を実行した.具体的には,歩行や走行に代表される周期運動と,跳躍や到達運動に代表される離散運動について,個性を低次元ベクトルによって従える生成モデルとその学習法を構築した.その生成モデルに基づく実時間適応アルゴリズムをオンラインEMアルゴリズムの適用により導出した.その有効性を確認するため,光学式モーションキャプチャシステムで計測されたヒトの歩行や走行,跳躍など様々な全身運動における関節角時系列データに提案法を適用し,個性を捉えた高精度な運動予測が行えることを実証した.また,提案法の核を成す原理をロボットの見まね学習法の一つである運動学習プリミティブに応用し,個性を考慮した運動の見まね学習が可能であるパラメトリック運動学習プリミティブを提案し,その有用性を実証した.これらの成果に基づいて,国際論文誌1件,国内論文誌1件,査読有り国際会議2件,査読無し国内会議3件の発表を行った.
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