本研究では,人の全身運動に潜む個性を効率的に捉える新しい情報処理技術の確立を目的としている.この技術を確立することにより,近年実用化への期待が高まる,筋電位を利用して身体機能を補助・強化するロボットスーツや,脳から読み取られる情報を基に代替の身体としてロボットを操作するブレインマシンインターフェースの性能を飛躍的に向上させることが期待される.最終年度である平成24年度では,前年度までに確立されたデータの個性を捉える情報処理技術のさらなる応用可能性を明確化するための年度と位置づけ,これまで検証用に用いてきたモーションキャプチャデータと異なるデータとして,筋電位時系列データとロボットのジェスチャ動作データの異なるデータに対して提案手法を適用し,その有用性を解析した.その結果,どちらのデータについても,提案技術によりデータに潜む個性を効率的に捉えることができ,認識精度を大幅に向上できることを確認した.また,実際にロボットハンドやパーソナルロボットの動作制御課題に応用し,多数のユーザが共通して利用できる汎用的なインタフェース(マルチユーザ筋電インタフェース,個人適応型パーソナルロボットシステム)の実現可能性を確認することができた.これらの成果をまとめ,権威ある国際論文誌1件,国内論文誌1件,査読有り国際会議1件の発表を行った.これらの研究成果は,今後の各該当分野研究に多大な影響を及ぼすことが期待される.
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