研究概要 |
本研究は照明条件の異なる複数の画像から高精細な3次元モデルを推定する手法の速度・精度・安定性を向上させることを目的とし,今年度は下記のような成果を得た. 1.マルチコアCPUとGPUを用いた実装により,計算速度を数倍に向上させた.この際,並列計算の効果が発揮されるようなアルゴリズムへの変更が必要であった.また,初期値の設定法や計算手順の改善により,多くの画像で探索が迅速かつ安定に行えるようになり,従来用いていた例外的な処理の多くは不要となった.一方,解付近で2次収束が得られないことも明らかとなったため,目的関数の設計には更なる検討を要する.詳細はCVIM181で発表している. 2.従来の目的関数はモデルによって生成された画像と入力画像の残差2乗和であったが,残差と光源方向の外積の2乗和を用いる方法を検討し,計算初期の速度が向上することが分かった.なお,外積の2乗和そのものは性能が悪化する場合があるため,これを改善するための正規化処理を検討した.詳細はPSIVT2011で発表している. 3.更なる高精細化のためには,形状をスプライン補間で表す等の効率的表現を要する.この方法については関連研究(CVIM176,CVIM186で発表)で検討しており,正則化を含めた最適化の方法は本研究にも応用可能である. 4.推定の不安定要因としてカメラパラメータに着目して挙動の解析を行い,目的関数の改善の方向性を検討した.
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