研究概要 |
本研究では,触れた情報を取得する触覚機能と,生じている力を計測する力覚機能を併せ持つデバイスの開発と,それぞれの情報を組み合わせることで,滑りや質感などのより複雑な接触情報の取得の可能性を検討する. この中で本年度は,センサデバイスの一部である,触覚機能をもつ柔らかい接触部に関する基礎的検討を行った.この問題では,接触部の柔らかさ,柔軟変形のしやすさ,適切な情報量を考慮して,接触有無情報のみを取得できるスイッチのような構造のアレイ状の配列が妥当であるという結論を得た.また,柔らかさについては人間の指腹部の柔らかさを目標とし,機械インピーダンスの観点で人間と同じ弾性層の形成を確認した.これらの組み合わせにより,人間の触覚閾値と比べて同水準まではいかないものの,センサの触覚閾値として高感度な触覚機能の実現を実験的に確認した. このほかに,力覚機能に関する基礎実験を行った.このなかでは,より安定した出力を確保するため,センサの構造を再設計している.また,試作センサを用いてデータを取得し,そのデータを教師信号としてニューラルネットワークの非線形写像特性を用いて入出力関係を学習し,この結果を用いてセンサの信号から力の推定が実現できることを確認した. 以上の取組から,柔軟な触覚部に関しては基本的な原理,構造に関する見通しが得られた.また,力覚部に関しては出力の安定化を目指して従来の力覚センサデバイスの改良を行った.また,ニューラルネットワークの学習機能の力覚センサへの適用の可能性を確認し,妥当であることを確認した.
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