研究概要 |
本研究では,触れた情報を取得する触覚機能と,生じている力を計測する力覚機能を併せ持つデバイスの開発と,それぞれの情報を組み合わせることで,滑りや質感などのより複雑な接触情報の取得の可能性を検討する. 平成23年度は,力覚機能に関するセンサ構造を決定し,試作を行った.このなかで,安定した出力が得られ,かつ,接触面に対して垂直力,2方向のせん断力,接触点を中心とした回転モーメントの4軸接触力の情報が取得できる構造にすることができた.試作センサを用いてデータを取得し,そのデータを教師信号としてニューラルネットワークの非線形写像特性を用いて入出力関係を学習し,センサの出力信号から4軸接触力を求めることが可能なデバイスにまとめることができた. 一方で,触覚機能をもつ柔らかい接触部に関する構造の検討を進めた.柔らかさ,適切な情報量などを考慮して,接触有無情報のみを取得できるスイッチ構造のアレイ状配列柔軟体デバイスについて実際に試作を行い,各接触素子においてクロストークが発生せずに,接触情報を検出できるデバイスにした.また,キーマトリクス信号処理を行うことにより,省配線化を行い,センサへの実装にむけてデバイスの試作を進めることができた. これまでの結果をまとめると,接触部の接触情報を取得する柔軟体に関する構造と信号処理に関する仕様が決定した.これにより,省配線で,かつ力覚で得られる信号情報量を考慮した,簡易な接触情報取得柔軟体の実現の見通しが得られたまた一方で,4軸接触力の取得が可能な力覚センシングデバイスおよびニューラルネットワークを利用した接触力の推定ができることを確認した. このデバイスを応用することにより,より詳細な情報を使って動作する,ロボットやメカトロニクス機器の高知能化が進むものと考える.
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