研究課題
図形商標を用いて、人間の主観や感性に準じたCBIR(Content-Based Image Retrieval)の性能を向上させることを目的として、本研究では、以下の機能を実現させた。これらの機能を申請者がこれまで開発してきた類似画像検索システムの機能として提案し、図形商標だけではなく種々の画像を対象にした画像情報検索システムや画像特徴の抽出手法への適用可能性を調査した。(1)抽象図形を対象に、ゲシュタルト心理学で明らかにされている図形の群化要因「よい連続性」を測定するモデルを提案し、その精度を評価した。これまで申請者は、「近接」「類同」「閉合」の群化要因を測定するモデルに加え、「よい連続性」のモデルのプロトタイプを別に検討していたが、本研究では、この精度を向上させた。(2)「近接」「類同」「閉合」「よい連続性」の群化要因を測定するモデルを用いて、抽象図形の群化パターンを出力する手法を提案した。(3)じん肺診断支援システムの実用化を目的として、市販スキャナで画像化された肺X線像を対象に、主に肺野内の異常個所以外のノイズ除去に(2)の手法を適用し、提案システムの医用画像処理への適用可能性を検討した。その結果、一般的なフィルタリング処理によるノイズ除去に比べ良好にノイズ除去を行うことを確認した。(4)胃X線像を用いて、健常胃画像を判別する診断支援システムの開発を目的として、胃領域内部に出現する襞模様の線パターンへの2値化に(1)のモデルを適用し、有効に機能することを確認した。(5)内痔の画像診断で用いられる内視鏡画像(カラー画像)を対象とした自動診断システムを構築することを目的として、異常領域を特定する手段に(2)の提案システムが適用できるかを検討した。その結果、主に、「鬱血領域の特定に提案システムが有効的に機能することが示唆された。
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