研究概要 |
研究目的としてあげた接触モード(滑り・非滑り)の切り替わりの効率的な学習法の開発については,ロボットアームおよびハンドの関節トルクの空間におけるモード切り替わり境界を線形不等式の形で推定する方法を開発し,実ロボットをモデル化したシミュレーションにより評価を行った.その結果,望ましい接触モードを維持するためのトルクを線形境界の組み合わせにより表現できることが確認された.この線形境界の学習結果をモデル予測制御に適用することで,実機ハンド・アークシステムと同等の構成において提案する学習制御手法が有効に機能することが確認された.6自由度アームとロボットハンドおよびカメラからなるロボットシステムを構築し,物体を回転する動作を評価・検証した.シミュレーションにおける物理モデルと実機実験システムの間のずれに対処することが今後の課題となる.他方で,物体操作における機械学習手法の適用法についての拡張・応用法について検討を行った.具体的には,ロボットに搭載された力覚センサにより物体操作途中の物体との接触状態を観測し,そのセンサ情報からの特徴抽出を行うことで物体操作における適切な接触モードの維持方法を獲得する手法を提案し,シミュレーションにより実装・検証した.ヒューマノイドロボットにおける物体の抱え上げ動作をタスク例として実装し,非線形の低次元写像法により物体操作時のセンサ情報からの特徴抽出を行い,その物体操作への適用時の有効性を定量的に評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
物体操作において,接触モードの切り替わりに注目した学習法を導入するという目的については,シミュレーションにおいてモデル予測制御による制御法が適切に機能したことで一定の達成を得ている.一方,シミュレーションで得られた結果を実機ロボットに適用する段階についての評価・検証が今後の課題として求められる.
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今後の研究の推進方策 |
実機ロボットによる物体操作について,物理モデル(シミュレーション)と実世界との間のずれを評価し,そのずれに対処するための適応手法を開発することが第一の課題である.また,力センサ情報からの特徴抽出結果をロボット制御に反映するための制御手法を開発・評価することで,学習による物体操作へのアプローチの可能性を広げる.
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