本研究では、新奇対象物を自己の身体性に基づいて定義可能な知能ロボットの知覚アーキテクチャの構築と、そのような複数のロボット間での知識共有化アルゴリズムの開発という二つの目的がある.平成22年度は、前者の目的に相当する分割課題(1):知覚アーキテクチャの構築に重点的に取り組んだ.カメラ画像からの3D立体構造の対象物認識では、カメラ画像情報から欠落している対象物の奥行き情報を如何にして取得・補完するかが重要である.この課題に対し、本研究では、ロボットの移動に伴って変化する対象物の画像上でのオプティカルフローから、奥行き情報を算出し、3次元立体構造を再構成するアプローチをとっている.このため性能の優れたカメラ、画像グラバ、画像処理プログラムが必要であり、空間分解能4.2mm(カメラから0.5mの距離)、画角170度、処理速度60fpsの画像取り込み系を構築した.この性能は、現在開発中のVisual-SLAMアルゴリズム、LKトラッカーを用いた3次元対象物の再構成アルゴリズムを開発するために必要十分である.また、後者の目的である、他者の概念表象空間の推定については、概念空間を画像特徴空間で代用しものについて開発し、その考え方、成果を第16回創発システム・シンポジウムにて発表した.
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