研究概要 |
本年度は道具使用に関わる機能のうち,想起型ネットワークモデルの構築とバイオメタルを利用した拮抗駆動型ハンドのプロトタイプの開発を行った. モデルの構築ではリーチングに関わるネットワークを想起型ネットワークによって構成した.当初の計画通り早期型ネットワークとしてHintonの提案したDeep Belief Networkのを利用し,「効果器と対象物の組み合わせ」の入れ子構造によって運動の手順を記述し,入れ子構造によって効果器と関節角度の結合を使い回すことで,複数の効果器を適切な手順で運動を生成することかできるモデルを提案した.提案したネットワークは二層からなり,上位のネットワークは手順を状況として記憶することで時間的な処理を担い,効果器の位置と姿勢情報の結合という下位の情報をモシュレートする.この二層構造のネットワークよって道具使用における再帰的な処理を実現した.研究成果は赤ちゃん学会,日本ロボット学会において発表された. また,実験用小型ハンドとしてバイオメタルの拮抗駆動型ハンドのプロトタイプの開発を行った.ヒト型の手の列駆動型の骨格にバイオメタルを配置し,専用に設計した駆動回路によって物体の把持を行う実験を行った.プロトタイプの開発では,当初の予想に反して,把持に必要な関節の屈曲を得るにはバイオメタルの短縮率が小さいため小さなハンドを構成することが困難であることが明らかになった.また,短縮にも金属の冷却時間が必要なために想定していた速度がでないことがわかった.小型ハンドの開発については,次年度での計画の変更を含めた検討が必要である.
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