研究概要 |
ヒューマノイドロボットは,実環境での様々な作業を期待されており,より一層の柔軟な行動力が求められている.本研究の目的は,摺足による歩行と転回動作により,高い安定性を有する狭領域・劣姿勢移動を実現し,ヒューマノイドロボットの行動範囲をさらに拡大することである.そこで従来の「停止」「足踏み」の遷移のみによる移動ではなく,新たな状態「摺足」を導入し,解決を試みる.摺足による移動は,常に両脚が接地した状態の移動方法であり,脚の上下動ではなく,脚の回転動作で実現される移動方法であり,従来法と比較して安定した狭領域・劣姿勢移動が可能である.本研究目標達成への具体的なアプローチとしては,ロボットの姿勢や床面状況に影響を受けない適応的摺足制御の設計,摺足移動中の足裏圧力や転回角度などの同時計測による摺足移動モデルの構築と安定性評価,実環境での摺足移動のための最適移動計画アルゴリズムの実装などである. 当初の計画では,平成23年度には,(1)摺足並進・転回を組み合わせた最適移動計画,(2)狭領域・劣姿勢での摺足移動,(3)成果のまとめ,を実施する予定であった.実際の進捗としては,(1)(2)に関しては,ロボット本体(Robovie-PC),分布圧センサ(LLセンサ)を購入し,摺足移動中の足裏圧力分布の計測が可能となり,現在,実験結果をまとめている最中である.またODEによるシミュレータを構築し,計算機内での摺足移動を実現した.これを用いて今後,摺足移動計画を行う予定である.(3)に関しては,2011.5に開催されたICRA2011とASCC2011,2011.11に開催されたROBIO2011において口頭発表を行った.またこれまでの成果がRobotica(Vol.29,Issue 07)に掲載された.
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