研究概要 |
昨年度開発した視覚マーカはレンチキュラーレンズによって生じる1次元モアレパターンを活用したが,今年度はこれを拡張し,マイクロレンズアレイによって生じる2次元モアレパターンを用いた新たな視覚マーカを開発した.本マーカは昨年度のマーカよりも製造過程がシンプルとなり,今後の実用化により適したものといえる.また,従来のARマーカが苦手としていた正面付近からの観測においても,昨年度と同様,本マーカは姿勢誤差1deg未満の非常に高精度な姿勢推定が可能であることを種々の検証実験により実証した.位置・姿勢の情報は環境構造化の基礎であり,これを高精度化することによってロボットはより正確かつ細かい環境情報を取得することができるようになるため,本マーカは今後のサービスロボットのための環境構造化ツールとして非常に有用と考える.本年度はこのような物理的な環境構造化ツールの開発に加え,それをキーとしてロボットに与える環境情報を記述するための枠組みの検討を行った.ここでは,人間と共存するサービスロボットを指向し,人間の生活機能を記述する共通言語として最近注目されているICF(WHO国際生活機能分類)を応用することを検討した.さらに,このICFをロボットシステムで活用するべく,オントロジー工学の手法により計算機処理可能な形式に再編成する試みを開始した.こうした試みを発展させることで,人間の生活環境・生活機能を体系的に記述することができるようになり,ロボットが提供するサービスの機能を明確に定義することが可能になると考える.
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