研究課題
色彩と香りの調和予測モデルの構築を目的とし、4つの実験を行った。まず、8種の香りと18色の色彩を刺激として、香りの印象的次元の抽出と調和色の検討(実験A)及び、色彩の印象的次元の抽出と調和香の検討(実験B)を行った。実験Aは、100名の男女に対し、SD法による香りの印象評定を課すと同時に、香りに対する調和色、不調和色を各々カラーチャートから選択させた。実験Bは、100名の男女に、カラーカードの印象評定と香りの調和度評定を課した。香りの印象評定、色彩の印象評定、さらにこれらを統合した結果の各々に対して因子分析を施したところ、共通して〈MILD〉因子と〈CLEAR〉因子を得た。すなわち、香りと色彩は印象的構造が比較的近似しており、同一次元で捉えることが可能なことが示唆された。次に、重回帰分析によって、2軸における調和性を検討した。よって、印象的次元上で距離の近い色彩と香りは調和関係、距離の乖離した色彩と香りは不調和関係との結論に至った。次に、以上の実験で得た調和予測式を可逆的に検討した。香りの調和予測式の可逆的検討(実験C)として、80名の男女に、15種の香りの印象評定(VAS)及び調和、不調和色をそれぞれ18色から選ばせた。因子分析から得られた香りの因子得点を、実験Aの調和予測式に代入することで調和色予測選択率を算出し、実験Cで得た調和色実測選択率との相関を算出した。結果、殆どの予測式は比較的精度が高く、香りに対する調和色予測モデルの構築が可能であることが示唆された。同様に、色彩に対する調和予測式に対する可逆的検討(実験D)を行った。10種の香りと33色の色彩を用いた重回帰分析の結果、有意な回帰式を得たが、4種の香りに関しては精度が低かった。よって、色彩に対する調和香予測式は、香りに対する調和色予測モデルを補足的に説明するものとして有効と思われる。
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Color Research and Application
巻: (in press)
日本色彩学会誌
巻: 34(1) ページ: 14-25
巻: 34 ページ: 336-363