研究概要 |
ユーザの好みと健康に配慮したレシピ推奨を行うシステム構築のために,献立を作成するシステム(A)と,ユーザの好みを調査するシステム(B)の2つのシステムについてレシピデータベースを用いた性能評価を行った. まず(A)では実用化を想定したレシピデータの作成を目指し,木構造を用いて食材および調理手順のデータ化を行った.このデータベースでは,食材に含まれる栄養素が調理によって変化することを考慮し,食材データに含まれる栄養素から調理後の料理の栄養素を算出することが可能となった.これにより,従来よりも正確に栄養バランスを考慮することができ,レシピ推奨システムの性能が向上した.また,データベースには複数の料理本を参考にした500件以上の実際の料理データを格納しており,実用化に向けた実験を行う準備が整った. 次に(B)では,複数の感性検索エージェントを用いた献立提案システムの実システムへの実装を行った.本モデルでは,実システムを想定したユーザインタフェース設計を行うために,提示献立の並べ替え評価による進化計算手法を開発し,シミュレーションによる性能検証を行った.その結果,献立を個別に評価する従来の評価手法に対し,検索エージェントの最適化性能が向上することが確認できた.また,ユーザの好みの複雑さに対応するために,対話型免疫アルゴリズムを用いた検索エージェントの最適化手法を開発した.本手法では,ユーザの好みが多岐に渡る場合,複数のエージェントでユーザの好みを表現することが可能となり,数値シミュレーションでは5種類の異なった好みをうまく抽出できることが確認できた. これら2つのシステムは,実用を想定したレシピデータベースを使用する形で実装されており,各システムが正しく動作していることを確認することができた.
|