研究課題/領域番号 |
22700225
|
研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
下斗米 貴之 玉川大学, 脳科学研究所, 科研費研究員 (50415361)
|
キーワード | 芸術 / 共感 / 脳機能計測 / fNIRS |
研究概要 |
これまでは芸術や芸術教育(学習)に関する客観的な評価法についての十分な議論が少ない状況であった。特に音楽や絵画などの鑑賞者がどのくらい理解しているのか、嗜好性や興味についての計算論が乏しい状況であった。これまでの芸術教育・研究において、自己のみならず他者の存在が重要であると指摘されていた。そのため、本研究では感性のインタラクションとしての共感と評価とに注目している。 本研究では芸術を中心とした共感現象の神経基盤を明らかにし、芸術とその共感に関する計算モデル構築することを目的としている。 芸術の評価方法の開発と芸術鑑賞時のfNIRS脳機能計測実験を行った。評価法の開発として、絵画鑑賞時(視線計測・評価)などの行動実験を行ない、分析を行なった。絵画鑑賞においては統計クラスタリング手法を用いて分析し、分類を行なった。また、子供の興味度の算出法について提案し検証を行なった.特に、表情認識技術や、視線計測技術との対応を調べた。 共感の神経基盤に関する研究として、fNIRSを用いて2人同時に音楽聴取時の脳機能計測を行ない、互いの嗜好情報により相互作用が観測された。すなわち音楽鑑賞における嗜好の不一致による影響が明らかとなった。 また、絵画の視線分布に関するクラスタリングにより被験者のグループ分けや逸脱度の評価が可能となった。また、ヒトの興味度に関する研究として、評価者による感性評価を元に子供の興味度の推定を行ない、その妥当性を示した。また、表情認識・視線計測技術との対応を調べ表情から興味度を推定するシステムを構築した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は分析や理論について時間をかけることができたため概ね順調に進んでいる。芸術を鑑賞する側の脳機能計測・視線計測・行動分析などを通して、評価の方法が確立しつつあり、当初の予定通り進んでいる。特に興味度の推定法に関して学会等で成果報告している。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度までで、学習理論を元にして興味や嗜好度の推定法など新たな分析方法について示してきた。検証のため多くの行動実験データを必要とするため、今後実験を進める予定である。児童や幼児にも対象を広げ、行動実験を進める計画である。また、二者同時脳機能計測実験においても幾つかの新しい分析を適用して分析法の確立を目指す。
|