音楽と美術を中心とした、芸術に関する脳機能について調査した。 『音楽・音響刺激の評価実験』:音楽の専門性に関して脳波を使用して比較検討した。音の同時性に関する脳波を計測し音楽家と非音楽家を比較した結果、同時性に関わる脳活動に違いが存在することが明らかとなった。これは音楽におけるリズムの知覚に関係する重要な結果である。 また、音楽の和音に関して、和音から色を連想する実験を行った。その結果、選択色の彩度と明度に有意な傾向があり、ある程度予測可能であることが分かった。これにより印象に関わる共通表象の存在と、和音による印象の違いに関して明らかにした。 『美術鑑賞の評価実験』:美術鑑賞に関して、眼球の視線計測を行い印象との対応について検討した。その結果、美術の印象についての評価との対応が存在することを示した。これは、視線から印象が予測できることを示しており、この結果により客観的評価についての可能性を示した。 『共感性の脳機能同時計測実験』:音楽聴取時の2人の同時脳機能計測を行い、共感性に関する脳活動の有無に関して検討をおこなった。音楽に関する嗜好性について情報の有無が前頭前野周辺の賦活に影響を与えていることを示した。これは共感性に関わる活動を計測したものと考えられる。この研究により、共感相互作用に関わる生体計測の可能性を示した。 また、共感性に関して児童に関する実験を行い、体の姿勢や表情などによる興味度の評価や、性格傾向の違いについて評価を行った。
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