研究概要 |
本研究課題の成果は,大きく3つに分けられる:「(1)温度に関わる神経同期活動の数理解析」「(2)ガボールピラミッド技術を利用した物体検出アルゴリズム開発とそのFPGA実装」「(3)日本-ドイツ間共同研究・研究交流活動」 (1)温度に関わる神経同期活動の数理解析:定常電流の上昇でsaddle-node分岐を示すClass I型のMorris-Lecar(ML)モデルを用い,内在する神経温度に関するパラメータμを小さくすると,スパイクのパルス幅が長くなる.この知見から,発火周波数も単調に小さくなるように思われた.しかし,詳細な解析により,Class I型MLモデルは,μの減少で発火周波数が増加するという特殊な力学特性を持つことを見出し,この特殊な力学特性の機構には,カルシウムチャネル電流が深く関与することを示唆した.また,相互にシナプス結合した一対のMLモデル系の挙動の同期状態・非同期状態は,μを制御することで複雑に変化することをシミュレーションで示した. (2)ガボールピラミッド技術を利用した物体検出アルゴリズム開発とそのFPGA実装では,ガボールピラミッド技術を使い,顔認識の神経モデルElastic Graph Matchingの2つの問題点:「特徴量表現の複雑性」と「ガボールフィルタ処理にかかる高負担」を解消した物体検出アルゴリズムを提案した.この物体検出の初期アルゴリズムのFPGA実装をした.また,SIFT特徴量とのアルゴリズム上の相違性を比較検証し,Viola & Jones物体検出との性能比較を試みた. (3)日本-ドイツ間共同研究・研究交流活動では,15.備考で参照されるように,(2)に関連した九工大-FIAS共同研究契約をH22年度に引き続き更新.(2)の研究内容を国際共同研究の成果として国際会議論文で発表した.また,フランクフルトのFrankfurt Institute for Advanced Studies (FIAS)から,研究者2名を招聘し,Brain System Technologyに関する合同ワークショップをとりまとめ,九工大・脳情報専攻とFIAS間の学術研究交流の活性化を図った.
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