条件部集合の直接的な組み合わせ最適化を行うファジィ遺伝的機械学習手法の並列分散実装に対して,本研究で提案してきた個体群分割とデータ集合の分割の効果を様々な実験を通して検証した.たとえば,完全非並列や,個体群だけの分割,データ集合だけの分割など構造的な違いによる性能比較や,データの交換世代の影響や,個体の移住間隔のパラメータの違いによる性能比較などを行った.これらの実験を通して,個体群とデータ集合の同時分割化による大幅な計算時間の短縮が可能になることを明らかにした.また,個体の移住操作を行うことで,非並列非分散型の実装よりも探索性能が改善されることを明らかにした.またこのとき,個体の移住方向も重要であることを発見した.さらに,並列分散実装により探索性能が改善される原因を調査したところ,部分データ集合の交換によって,個体群が局所解に収束することを回避していることも分かった.以上の成果を,本研究の成果として,IEEE Transactions on Fuzzy Systemsに投稿し採択された. 多目的最適化への拡張に関しては,計算時間の短縮以上に利点がまだ得られておらず,引き続き調査と新たな実装方法の検討を行っていく予定である. 並列分散実装の構造上の利点を利用した,Imbalanceデータへの対応や,アンサンブル識別器への設計に関して,識別性能の改善が確認できたため,国際会議等で成果を発表した.
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