研究概要 |
本年度は,表現型-適応度写像に冗長性が存在する問題に関して,環境の変動率に関するGAの進化ダイナミクスを解析した.以下にその詳細を記述する. (1)当該分野の関連研究を分類・整理するために,冗長性のあるなしにかかわらず動的環境における進化論的計算に関する図書を購入し,サーベイを行った. (2)本分野の最新の研究動向を調査するためにCongress on Evolutionary Computation 2010において聴講を行った. (3)中立性を含む動的なテスト問題を設定した.これを用いて,環境の変動率によって,中立ネットワーク上の個体g群の分布がどのように変わるかを調べた.得られた結果は,生物進化で得られている知見と完全に整合性のあるものであった.これにより,環境変動が起こる場合の進化のダイナミクスに対して冗長性が非常に大きなファクターであることがわかる.同結果は下記の学会にて発表を行った.個体群の分布が変化する理由の記述の仕方およびテスト問題である動的な環境(モデル)の設定の仕方などについてコメントを受けた.これを受け,現在,結果の詳細な解析およびモデルの設定について検討を行っている. (4)(3)の実験はシミュレーションを用いたが,確率モデルでダイナミクスを記述できるのではないかという知見を得た.現在検討を行っている.これに関しては,当初の研究計画では含まれていなかったが,解析的な結果は理論を強くサポートすることになるため,研究を進めていく予定である.
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