研究概要 |
提案手法である Cautious Particle Swarm (CPS) に関する申請時までの調査において,今後の課題として次のことが挙げられていた. (ア) 各パーティクル毎に個性をもたせたCPSの振る舞いの調査, (イ) 探索局面に応じた適応的なパラメータ調整の方法の検討, (ウ) pbest 方向の速度ベクトルの確率密度関数への非対称正規分布の導入, (エ) 決定変数の座標軸方向への依存性を排したVector型PSOへの非対称正規分布の適用, (オ) 非対称正規分布が, これに対応する一様分布に比べ優れることの理由の調査, (カ) 近傍構造を導入することで多様性維持効果を高めたPSOとの探索性能や挙動の比較, (キ) 実数値GAやCMA-ESといった他の確率的最適化手法との探索性能や挙動の比較. 当初の計画に対し,調査対象を実数値型進化計算全体に広げつつ,特に(イ)についての理論解析を重視した調査を行い,成果を公表するに至った.具体的には,解候補のサンプリング分布の平均ベクトルと分散・共分散行列について統計科学的な理論解析を行い,後者の分布の広がりについて,粒子群(あるいは個体集団)の集団サイズが有限であることを考慮した望ましいパラメータ設定の条件を示し整理した.また,さらに高次の統計量である三次統計量に関する理論解析にも着手し萌芽的な成果を得ており,考察を深めた.なお,他の各課題についての調査も継続している.
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