平成22年度は、情報通信サービスにおけるサービス品質評価及びユーザのサービス選択傾向評価のためのモデルを構築することを目的として研究を行った。本年度研究では評価モデルの構築に向けその評価要因を抽出するため、情報通信サービス、特に近年急速に普及し発展してきたSNS、Twitter、ブログ等のソーシャルメディアに関する利用誘因に関する調査を総務省情報通信政策研究所と共同で実施した。本調査では、調査対象地域(4都市各250名)及び全国(2000名)の一般ユーザを対象にアンケート調査を実施し、ソーシャルメディア、特にSNSの利用誘因に関する調査を実施した。利用誘因の調査に当たっては、「地域の安全・安心担保技術としてのITに関する評価~コレスポンデンス分析による消費者イメージの分析をもとに~」(田中・針尾)及び先行研究(近藤・海野「インターネット利用の決定要因と利用実態に関する調査」)に基づきTechnology Acceptance Modelを応用して利用誘因の分析を行うとともに、評価要因の抽出を行った。また本調査では併せて心理指標である特性的自己効力感及びプライベート空間機能尺度を応用し、利用者特性及びソーシャルメディアによってインターネット空間上に構築されるバーチャル空間に対するユーザの認知を分析し、これらの要因がユーザのサービス評価に与える影響を分析した、これにより、ソーシャルメディアの利用にユーザの空間認知が影響を与える可能性があること、先行研究と比較し自己効力感が情報通信サービスに与える影響が低下してきている可能性があることなどが明らかとした。 以上、平成22年度研究では、サービス品質評価及びサービス選択傾向評価モデル構築に向けて調査を行い、ソーシャルメディアに関する利用誘因、利用者特性・サービス認知から評価要因の抽出に向けた分析を行った。これらの成果を踏まえ平成23年度に評価モデルの構築及び検証のための調査を実施する予定である。
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