研究概要 |
本研究の最終目標は次の2点である。 (1)戦後日本の公共図書館における郷土資料活動の歴史を記述すること。 (2)郷土資料の収集・整理・保存・提供に対してどのような取り組みが行われてきたのか,未着手なものがあればその要因は何であるかを調査して,現在の公共図書館が解決しなくてはならない郷土資料問題の全体像を明らかにすること。 これまでに研究代表者が行った研究から,郷土資料活動には,東京・三多摩地域と新潟・新津市(現新潟市)の図書館および図書館員が大きな貢献をしていることが明らかになった。本研究2年間の具体的な目的は,この2つの地域に限定して,文献調査とアンケート調査,インタビュー調査を行い,当該地域の郷土資料活動の歴史に関するオーラル・ヒストリー・アーカイブを構築することである。 今年度は,オーラル・ヒストリーや社会調査に関する文献を収集して手法を学び,東京・三多摩地域の図書館30館を対象にアンケート調査,現地調査,インタビュー調査を行った。調査結果をもとに各館が所蔵する郷土資料の収集方針と収集内容,過去の郷土資料担当者から現在の担当者に至るまでの業務内容とその変遷を明らかにし,全館共通の事項と各館固有の事項が通覧できるアーカイブ作成のためのデータを整理した。並行して,両地域における郷土資料活動の重要人物である青木一良について調査し,青木が戦前勤務した台湾総督府図書館時代に影響を受けたと推察される山中樵館長との関係など,詳しい人物像の記述を行った。
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