1997年、ナイロビでサービスを開始したケニアの携帯電話は、10年で急速に普及してきた。2000年代後半となってもその新規利用者層の拡大がみられ、2008年には1600万人の利用者を記録した。そして、Safaricom とZain(現Airtel)という、これまで二大携帯電話会社としてしのぎを削っていたところに、Orange とEconet Wireless (yu)の二社が新規事業展開をおこなっている。 その後、2009年には利用者が1940万人にまで増加した。この利用者のうち、18万6千人がポストペッドの支払い方法を選択している。つまり、99%がプリペッド利用をおこなっている。電話料金は、4社の競争が激化したこともあり、同ネットワークで1分平均5.66ケニアシリング(約10円)と安くなってきた。4社の総収入は8402億ケニアシリング(約1兆5000億円)であるが、ひとりあたりの平均利用料金は約370ケニアシリング程度である。これとともに、モバイルインターネット利用者は、この1年間で39万8000人から198万人にまで増加した。 2010年には、さらに通話料金は安くなり、モバイルインターネット利用者も270万人まで増加した。 本研究では、トゥルカナ県において周縁地域の人々の電話利用に関するフィールドワークをおこなった。本地域は、90年代に設置された難民キャンプ、多発する干ばつ、そして昨年度明らかになった大規模な油脈の発見による社会変動のただなかにある。この変動と携帯電話利用との関連を手掛かりとして、メディア利用の地域格差の存在を明らかにした。
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