本研究は、トゥルカナ牧畜社会におけるメディア利用について、2006年からの継続的なフィールドワークをおこなうことによって後期近代化の様相を明らかにすることである。第5波から7波にあたる本調査では、モバイルマネートランスファーサービスの普及と牧畜民の利用状況について確認をおこなってきた。その結果、このような送金サービスは、都市部における状況とは異なったものであることがわかった。サービス利用以前に、携帯電話の利用そのものも都市部と比較すると不安定なものがあり、デジタルデバイドというよりは、ケニア国内の格差社会を助長する結果として理解できることがわかった。 一方で、若者たちにとっては、これらのメディア技術の普及が将来への希望となっていることも判明した。したがって、識字率の低い地域における若者と教育に関わる場面におけるメディア利用研究が今後の課題としてあげられる。
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