研究課題
本研究の目的は、ブロードバンドが急速に普及している現代アメリカのテレコミュニケーション政策において、第一に、ネットワーク中立性など複数の事例研究を行い、グーグルなどの新しいアクターが規制緩和に拍車をかけるのか、それとも既存事業者への新たな規制導入の推進的役割を果たしているのか、その役割について解明することであった。第二に、本研究では新たなアクターの選挙献金やロビーイングといった政治活動に着目した分析を行い、選挙によって大統領の政党が共和党から民主党へ交代したこと、あるいは議会の多数党の交代といったアメリカ政治の潮流が、テレコミュニケーション政策の規制の展開に関してどのような意味を持つのかを検討することを目的とた。これまで事例研究として、アメリカにおけるネットワーク中立性の政策議論の展開について焦点を当てて分析し、ティー・パーティ運動や共和党議員などが政府の権力乱用を主張し活発にネットワーク中立性の規制反対運動を展開してきたことを明らかにしてきた。そしてその背景として、連邦通信委員会(FCC)のブロードバンドサービスに対する規制権限をめぐる問題が大きなファクターの一つとして存在していたこともわかった。そこで、最終年度に当たる今年度は、この問題について日本との比較の視座から考察することとした。その結果、アメリカの事例に見られる問題は日本の法制度のもとではきわめて起こりにくいことが確認された。また、当該年度はネットワーク中立性にとどまらず、これまで行ってきた複数のヒアリング調査などを整理し、アメリカのブロードバンド政策の展開において、グーグルがどのような役割を果たし、また、どのような影響を及ぼしているのかという点を分析した。後者については、2013年9月の日本政治学会で口頭発表を行う予定である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Law & Economic Regulation, Center for Law & Public Utilities
巻: Vol.5, No.1 ページ: 48-59