研究概要 |
SNS型ネットコミュニティを地方自治や地域活性化、ソーシャルキャピタル醸成などに活用する「地域SNS」について、文献調査、現地訪問調査、アンケート調査等により、理論的検討や類型化、モデル化、評価指標の検討を進めた。2005年の地域SNS誕生期から各地の運営者や研究者と築いてきた協力関係を活かし、事象の全体像を捉えた研究となった。 1.ガバナンス論における地域SNSの理論的位置づけの整理 「ネットワークによるガバナンス」論(Goldsmith and Eggers, 2004))や(R.Putnam, 1993)らの社会関係資本の議論等を元に地域SNSを考察し、地域で多様な市民団体・サークル等がゆるやかに連携する構造が、それらの持続的活性化にとって望ましいことが示唆された。またこのような活動への住民の参加促進については、静岡県掛川市の市民総代会地区集会やデンマーク・コペンハーゲン市のローカル委員会のような挟域の自治活動と、そこに参加するサブエリート「エブリデイ・メーカー」(Bang, 2004)の役割が鍵であると整理した。 2.具体的な活性化手法と運用上の工夫の収集・事例集化と因果関係の分析 イベント開催や新たなソーシャルメディアとの連携・役割分担の方法など、地域SNSを具体的に地域社会で役に立たせるための様々な手法や、コミュニティを持続可能なものにするための運用上の工夫等について事例を収集しウェブサイト等を通じて公開した。 3.地域SNSの多様性を反映した類型と評価(指標) 地域SNSを「対象地域の広さ」と「紐帯の強弱への志向」により5類型化し、各類型の運営目的や方針、機能等の特徴をまとめた。また運営者・参加者へのアンケート調査を行い、そのデータ等をもとに地域SNSの基本的な姿を明らかにした。また、この調査を総務省との共同研究により拡張した。成果は総務省『情報通信白書平成22年度』のp55-p62で紹介された。
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