本研究では、定位操作の一種である「入れ子操作」用いてデグーの階層的物体操作能力を定量的に分析し、ヒトを含む霊長類と直接比較することにより、ヒト認知能力の特性を検討することを目的とした。実験に先立ち、物体操作におけるデグーの身体的不利を補うため、実験装置の改良を行った。これを用いてデグーに入れ子操作の訓練を行い、得られた結果を、時系列的に記述して霊長類の結果と比較した。結果、デグーの入れ子操作行動は、pairからpotまでの行動の変化がチンパンジーとi類似していることが確認された。また最終的に4個のカッフ.を用いたpot操作が確認されたが、 subassembly操作は現れなかった。これが謁歯類であるデグーの階層的操作能力の限界であると考えられる。
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