本研究では、治験や臨床研究の効率化を行うために、他業種における統計的品質管理手法導入を参考に、治験や臨床研究の基盤となる業種における教育プログラム開発を目的としている。 本年度は、研究体制の構築として、SMO事業部を有する調剤薬局企業と共同研究契約を組むことができた。当該企業と信頼関係を築くために、調剤業務の統計的品質管理プロジェクトを先行させ開始している。また、臨床研究業務に関する教育プログラムの開発を行うために、研究代表者が所属する北海道臨床開発機構のデータセンターを研究対象として加えることとした。 本年度、「統計学を拓いた異才たち-経験則から科学へ進展した一世紀」の著作で有名な統計家であるDavid Salsburg氏を招聘し、教育講演および教育プログラムの開発に助言を得る予定であったが、先方の都合がつかなかったため、来年度以降に延期することとし、必要な資料の収集を優先させた。 北海道臨床開発機構のデータセンター職員ならびに医学研究科の大学院生に対して、統計的品質管理手法が実行可能な統計ソフトウェアJMP(SAS Institute Inc.)の実習教育を行った。 本年度の成果として、北海道臨床開発機構のデータセンターにおけるデータマネジメント業務における問題点を抽出し、統計数理研究所リスク解析戦略研究センターシンポジウムにて発表を行った。今後の研究の方向性としては、データマネジメント業務のプロセスを詳細に記述し、職員向け統計教育プログラムの開発に活かし、教育プログラムの効果を測定する実証研究に繋げていきたいと考えている。
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