近年、治験や臨床研究の基盤となるCRCやモニター、データマネージャーなどの職種の重要性がますます認識されつつある。これらの職種における業務内容は自動化が難しい内容が多く、人海戦術的な作業によって、品質が維持されているのが現状である。特に治験では、必要以上の品質を確保しようという傾向があり、非常に高額な治験費用の一因となっている。製造業やサービス業などの他分野においては、Lean Six Sigmaなどの統計的品質管理手法が導入され、品質の向上と業務の効率化が図られている.が、製薬関連業においては外資系の企業において取り組みが始まったばかりである。本研究では、治験や臨床研究の効率化を行うために、他業種における統計的品質管理手法導入を参考に、治験や臨床研究の基盤となる業種における教育プログラム開発を目的とする。 平成24年度は平成23年度に契約した某製薬企業において、開発した教育を実施した。また、統計的品質管理手法による業務改善効果を確認するために、最終患者観察終了からデータベース固定までのデータマネジメントプロセスの改善研究を実施した。その結果、これまで約40日かかっていたプロセスを約20日に短縮できる可能性が示唆された。本研究の結果は、日本臨床試験研究会第4回学術集会総会にて、「統計的品質管理手法を用いたデータマネジメントプロセス改善の検討」という演題で発表を行った。 教育プログラムの開発にあたって予定していた海外講師の招聘は、講師の都合により困難となったため、研究代表者がパートナー企業と綿密に連絡を取り合うことによって補うこととした。 教育プログラムの公表については、研究の遅れの影響で年度内に実施が困難であったが、来年度以降に順次公表していく予定である。
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