研究概要 |
研究初年度である2010年度は,パーミュテーション法やブートストラップ法などのリサンプリング法に基づく多重検定に関する理論研究の最新動向の情報収集と理論的な検証,関連するゲノム解析についての最新動向に関する調査と整理,および数値実験のための準備をおこなった. リサンプリング法に基づく多重検定に関する理論研究については,P値の推定という立場から見たリサンプリング法に基づく多重検定の妥当性についての研究,多重検定とAdaptive Lasso等によるスパース推定法との比較研究,リサンプリング法に基づいた経験ベイズ多重検定に関する研究,を中心としておこなった.その中で,とくにP値の推定については理論的問題が多く,引き続き次年度も継続して進めていく.スパース推定法に関しては,後述する遺伝子ネットワーク推定等で考えられる時系列モデルにおける新たなスパース推定法を提案し,比較的小規模な数値実験によりその有効性を確認した.高次元の場合の検証については今後進める.また,多重検定法およびスパース推定法の今後の高次元における検証実験のための環境整備をおこない,現在プログラム開発を進めているところである. 一方で,本研究における研究対象である高次元における多重検定は,ゲノム解析において,遺伝子発現データを用いて遺伝子間の制御関係を探る遺伝子ネットワーク推定や,一塩基多型(SNP)による疾患関連遺伝子の同定などにおいて用いられる.これらの内容についての調査を行い,その統計的手法の理論的な課題を整理した.
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