研究課題/領域番号 |
22700297
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
米本 孝二 久留米大学, バイオ統計センター, 講師 (90398090)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 同時モデリング / 観察研究 / 経時データ / 生存時間データ |
研究概要 |
1.栄養疫学でよく用いられている食事パターン抽出法である縮小ランク回帰法(reduced rank regression)は、疾患発症と関連することが既に分かっているバイオマーカーや栄養素の情報を用い、この既知の情報の変動を表す因子を作成し、その因子と食事データをモデリングすることで食事パターンの抽出を行い、抽出された食事パターンと疾患発症の関連を見るという考え方である。一般に栄養疫学では栄養素や食事に関し、食事に含まれるエネルギーの影響を調整することが多い。しかし、栄養素を既知の情報として用いた縮小ランク回帰法を用いた研究では、エネルギー調整を栄養素と食事の両方に行っている研究、栄養素のみに行っている研究、全くエネルギーの影響を考慮していない研究などその取り扱いは一定していない。そこで、栄養素および食事データに関し、エネルギー調整の組み込み方が与える影響について研究を行った。 2.栄養以外の観察研究のデータにおいても縮小ランク回帰法のアイデアを用いて疾患発症の柔軟なリスク評価が可能となるのではないかと思い、その方法論について研究を行った。具体的には疾患の発症と関連することが分かっているバイオマーカーや危険因子の経時データを疾患発症の生存時間データとともに同時モデリングし、経時データを用いた疾患発症リスクの指標を作成する。疾患発症リスクの指標をベースラインの測定値を用いてモデリングを行い、そのモデルを用いてベースラインと疾患発症との関連を評価するという方法について研究した。 3.高齢者の認知機能に関してMoCAで測定される認知機能検査値の基準値の作成(Narazaki et.al. (2013))、認知症発症に関連する食事パターンの抽出(Ozawa et. al. (2013))に取り組み、国際誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究には大きく2つの目的があり、1つが関数分散分析法を導入した同時モデリング手法の開発、もう1つが非線形な影響を評価することに適したモデリングアルゴリズムの開発である。前者については段階的に着実に研究が進んでいる、また後者については既にそのアルゴリズムを考案した。また観察研究において同時モデリングが有効であることを示すことも本研究の目標である。この目標も順調に進んでおり、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
実データ、数値実験データに手法を適用し、本研究の提案法が従来の手法よりもデータを有効に利用し、限られたデータから多くの知見を得ることが出来ることを示す。 研究成果を学会やシンポジウムで発表するとともに、論文として雑誌に投稿する。
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