本研究の目的は,高まりつつあるテストへの需要とその科学的運用への期待を背景に,テストデータを統計理論に基づいて容易に分析できるプログラムを開発し,WEBサーバ上で自在にテスト関係者が使用できるシステム環境を構築することである.WEB上で簡単に操作することのできる環境を構築することによって,大学関係者のみならず多くのテスト関係者が,テストを選抜のためのものではなく,教育に資する情報を提供するものとして認知し,実際に利用できるようになることを目的としている.本研究においては,テスト(試験)がより高い公平性・信頼性のもとで運用されるように,統計モデル(項目反応理論)の枠組みでテスト運用を容易にするための統合的分析システムの開発がおこなわれた.また,そのシステムはWEB上において提供されうる形式とした.なお.それらシステムはCBT(適応型テストシステム)との連携が可能なような設計とした.同時に,これまでに提案されてきた複数の項目反応理論のモデルについて理論的統合をはかり,パラメタの推定方法に関しての理論研究もおこなわれた.さらに,CBT自体の設計・実装もおこなうことによって,より開発するシステムが効果的に使えるようになるものとされた. 研究成果として,本年度は統合的分析システムがWEB上で運用が開始された.また,理論的な研究成果をふまえ,新たなモデルが実装されている.さらに,尺度化の理論的研究をすすめ,成果が得られた.また,CBTシステムについても設計・開発がおこなわれた.また,上記の成果について,国際計算機統計学会において報告された.
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