H22年度は研究代表者が開発したCofo1ga2moを中心としたRNA配列アライメント・二次構造予測システムの開発を行った。このシステムでは、入力されたRNA配列に対して多目的遺伝的アルゴリズムを用いて配列類似度と共通二次構造を同時に考慮することにより高精度なペアワイズアライメントを出力する。また、得られたペアワイズアライメントに対してアライメントフォールディングを行うことで、共通に存在する二次構造の予測も行う。このようなアライメント・共通二次構造はRNA間相互作用予測を行う際に有用である。このRNA配列アライメント・二次構造予測システムはCofo1ga2moウェブサーバーとして一般に公開を行った。また、RNA配列の設計(逆工学)についても多目的遺伝的アルゴリズムを用いた新規な手法(MODENA法)の提案を行った。従来手法では「指定した構造」と「設計したRNA配列の構造」の間の構造類似度のみを目的関数としていたのに対し、MODENA法では構造類似度と自由エネルギーの2つを目的関数とすることで、従来手法では困難であった幅広い自由エネルギー分布を持つRNA配列群を設計することに成功した。従来手法では困難であった、天然のRNA配列に近い安定性を持つRNA配列の設計が容易となるなど、MODENA法は機能性人工RNA配列設計の可能性を大きく広げる新手法であるといえる。MODENA法により、H23年度に予定している人工miRNAの設計が可能となる。
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