研究課題
転写におけるRNAPIIの速度を計算しさらにChIP-chip解析の結果からRNAPIIの運動は一様な流れとしてよりも障害物中の流れにみえることを発見した。これらの新規知見を導入して実体としてのRNAPIIの解析結果を用いて転写におけるRNAPIIのダイナミクスを高精度な数値シミュレーションを行った。本シミュレーションでは、セルオートマトンをベースに複数のRNAPIIが相互作用をしながら移動していく蓄積排他モデルを導入した。パラメータとしては、速度v、CTCF/Cohesinなどの蛋白質との摩擦係数γ、細胞の確率密度分布P、RNAPIIの個数N、RNAPIIの間隔N(t)、などを設定した。この技術を応用して、CTCF/CohesinがRNAPIIの運動の障害物になっていることと特定の蛋白質を阻害した場合のRNAPII運動の高精度シミュレーションを行った。さらに前年度の成果で得られたRNAPIIダイナミクスの座標情報を引数にとり、発現されるエクソン、イントロン領域のRNA量を時間・空間上で高精度にシミュレーションした。ここでパラメータとしては、細胞の確率密度分布Pに加えて、RNAの減衰係数τ、TSS蓄積係数α、などを用いることで、イントロン部分のRNAは時間が経つと消滅し、エクソン部分のRNAは時間とともに蓄積されている様子や、刺激直後からRNAの転写が遺伝子上を波のように遺伝子を伝搬していき安定的に転写をする状態になってゆく様子を再現することができた。これらの研究成果は、Physical Review、The EMBO Journal、The Journal of Clinical Investigationの各ジャーナルに掲載された.
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The Journal of Clinical Investigation
巻: 122(2) ページ: 722-732
DOI:10.1172/JCI58618
Physical Review E
巻: 84 ページ: 15
DOI:10.1103/PhysRevE.84.041922
The EMBO Journal
巻: 30 ページ: 2582-2595
DOI:10.1038/emboj.2011.173