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2011 年度 実績報告書

ヌクレオシドトランスポーターを介したアデノシン取込みによるニューロン新生調節機構

研究課題

研究課題/領域番号 22700325
研究機関東北大学

研究代表者

守屋 孝洋  東北大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (80298207)

キーワードニューロン新生 / アデノシン / 神経幹細胞 / トランスポーター / ENT
研究概要

我々はニューロン新生を担う神経幹細胞の増殖能がアデノシンによって抑制的に調節され、これはアデノシントランスポーターの一種である受動拡散型ヌクレオシドトランスポーター1(Equilibrative nucleoside transporter 1; ENT1)を介したアデノシン細胞内取込みによってもたらされることを見出した。そこで本研究では、ENT1を介したアデノシン取込みによる神経幹細胞の増殖抑制の分子基盤を明らかにするとともに、ENT1を介したアデノシンの細胞内取込みと増殖抑制が、脳内のニューロン新生において生理的および病態生理的にどのような役割を果たしているのかをENT1遺伝子欠損マウスを用いて探ることを目的とした。この目的を達成するために次の3つの項目について検討を行い、次のような成果を得た。
1)マウス海馬由来の神経幹細胞におけるENT1の発現解析および活性調節機構の解析
マウス海馬から神経幹細胞を調整し、増殖条件および分化条件下におけるENT1ならびにENT2、ENT3、ENT4のmRNA発現を解析したところ、ENT2-4は未分化状態ではほとんど発現せず、分化に伴い、その発現が上昇するのに対し、ENT1は未分化状態で多く発現し、分化に伴い、その発現は低下した。さらに、ENT1欠損マウス由来の神経幹細胞において、アデノシンの増殖阻害曲線は右方シフトしており、アデノシン耐性であることがわかった。さらに、^3H-アデノシン取込みを指標にしてトランスポーター活性を調べたところ、未分化な神経幹細胞におけるENT1特異的なアデノシン取込みが明らかになった。
2)ENT1を介したアデノシン取込みによる神経幹細胞増殖抑制の分子機構の解明
薬理学的・生化学的解析により細胞内に取り込まれたアデノシンは、アデノシンキナーゼによってアデノシン-1-リン酸(AMP)に代謝された後、ピリミジンde novo合成経路を抑制して増殖を阻害していることが明らかとなった。一方、高い細胞内AMP/ATP比で活性化されるAMP依存性キナーゼはアデノシン処理で活性化されるもののアデノシンによる増殖抑制には関与していないことが明らかになった。
3)生体内のニューロン新生におけるENT1を介した増殖抑制の役割の解明
脳内でアデノシンレベルの上昇する睡眠剥奪はマウスの海馬神経幹細胞の増殖を阻害することがBrdU免疫染色法によって観察された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 中枢神経系作用薬の時間治療への応用の可能性2011

    • 著者名/発表者名
      守屋孝洋
    • 雑誌名

      ファルマシア

      巻: 47巻 ページ: 618-622

  • [雑誌論文] Distinctive Effects of Arachidonic Acid and Docosahexaenoic Acid on Neural Stem/Progenitor Cells2011

    • 著者名/発表者名
      Sakayori M, Maekawa M, Numayama-Tsuruta K, Katura T, Moriya T, Osumi N
    • 雑誌名

      Genes to Cells

      巻: 16巻 ページ: 778-790

    • DOI

      DOI:10.1111/j

    • 査読あり
  • [学会発表] 神経幹細胞のリズムと抗うつ薬2011

    • 著者名/発表者名
      守屋孝洋、前川知子、中畑則道
    • 学会等名
      第18回日本時間生物学会学術大会・シンポジウム
    • 発表場所
      名古屋(招待講演)
    • 年月日
      2011-11-25
  • [学会発表] 神経幹細胞の概日リズムの制御機構と生理的役割2011

    • 著者名/発表者名
      守屋孝洋、前川知子、中畑則道
    • 学会等名
      第64回日本自律神経学会総会・シンポジウム
    • 発表場所
      秋田(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-27

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公開日: 2013-06-26  

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