• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

てんかん病態における脳内D-セリンの機能解明

研究課題

研究課題/領域番号 22700332
研究機関富山大学

研究代表者

井上 蘭  富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (70401817)

キーワードD-セリン / セリンラセマーゼ / NDMA受容体 / てんかん
研究概要

NMDA型グルタミン酸受容体は中枢神経系において興奮性神経伝達を担っており、その過剰活性化はてんかんの病態に深く関わることが報告されている。D-セリンはNMDA受容体の機能を調節する内在性コ・アゴニストのひとつである。本研究では、D-セリンの合成酵素であるセリンラセマーゼ(SR)をノックアウト(KO)したマウスを用い、ペンチレンテトラゾール(PTZ)誘発痙攣におけるD-セリンの役割を検討した。野生型(WT)マウスとSR-KOマウスにPTZ(50mg/kg)を腹腔内投与しところ、検討したすべてのマウスにおいて全身性強直性間代性発作が誘発された。しかし、SR-KOマウスでは、痙攣発作の持続時間がWTマウスに比べ有意に短かった。さらに、SR-KOマウスは痙攣発作後すべての生存したのに対して、WTマウスは1匹死亡したことから、SR-KOマウスではPTZにより誘発される痙攣発作の程度が緩和されることが明らかとなった。この結果に一致して、SR-KOマウスでは、PTZ投与2時間後の大脳皮質におけるc-fos(神経活動の興奮レベルの指標)発現細胞がWTに比べ有意に減少し、さらにPTZ投与3日後の海馬歯状回における活性化アストロサイトの数もWTマウスに比べ有意に少なかった。また、海馬歯状回にカニューレを留置し、自由行動下のマウスでMicrodialysisを行ったところ、WTマウスではPTZ投与後に細胞外グルタミン酸濃度が上昇するのに対して、SR-KOマウスではPTZ投与後の細胞外グルタミン酸濃度の増加が認められなかった。以上の結果から、D-セリンの合成を抑制することによって、PTZ投与により誘発される痙攣を緩和できることが明らかになり、今後SRやD-セリンをターゲットとする新規治療薬の開発がてんかんの治療戦略に役立つと考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Differential regional distribution of phosphorylated tau and synapseloss in the nucleus accumbens in tauopathy model mice.2011

    • 著者名/発表者名
      Kambe T, Motoi Y, Inoue R, Kojima N, Tada N, Kimura T, Sahara N, Yamashita S, Mizoroki T, Takashima A, Shimada K, Ishiguro K, Mizuma H, Onoe H, Mizuno Y, Hattori N
    • 雑誌名

      Neurobiology of Disease

      巻: 42 ページ: 404-414

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Serine racemase knockout mice.2010

    • 著者名/発表者名
      Mori H, Inoue R
    • 雑誌名

      Chemistry & Biodiversity

      巻: 7 ページ: 1573-1578

    • 査読あり
  • [学会発表] Pentylenetetrazole-induced seizure is attenuated in serine racemase knockout mice2010

    • 著者名/発表者名
      Ran Inoue
    • 学会等名
      Society For Neuroscience's 40th annual meeting
    • 発表場所
      San Diego, California, USA
    • 年月日
      2010-11-16

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi