研究課題
網膜において受け取られた視覚情報は平面上の位置関係を保ったまま脳に伝えられる。このようなretinotopyと呼ばれる対応関係は視覚系の様々な階層において見出される。しかし、脳の視覚中枢におけるretinotopy形成機構はハエでもほ乳類でもほとんど分かっていない。本研究ではショウジョウバエの脳視覚中枢におけるWntファミリー分子の役割に着目し、保存された分子機構を解明する。視覚中枢においてDWnt4は腹側、DWnt10は背側特異的に発現するが、DWnt4およびDWnt10の役割は分かっていない。DWnt4の受容体であるDfz2は、細胞外ドメインにWntリガンドが結合すると細胞内に情報を伝達する。これまで、リガンドの1つであるWgのシグナルについてはDfz2の細胞外ドメインは必要無く、細胞外ドメインを欠いたDfz2でも変異体の表現型がレスキューできると報告されていた。しかし、DWnt4の働きに関しては細胞外ドメインを欠いたDfz2では変異体の表現型がレスキューされなかったことから、同じDfz2を介するにも関わらず、WgとDWnt4ではシグナル伝達の分子機構が大きく異なることが示唆された。視覚中枢において神経細胞のサブセット特異的に発現する様々なGal4系統にDWnt4変異体を組み込み、DWnt4変異体におけるこれら神経細胞の投射パターン異常を解析しようと試みたが、Gal4を組み込んだDWnt4変異体の生存率が低く、十分な解析ができなかった。DWnt10については現在までに表現型は見出されていない。DWnt4とDWnt10の二重変異体を作製するため、DWnt4変異体バックグラウンドにおけるDWnt10ノックアウトを試みたが、ハエの生存率が低く二重変異体を得ることはできなかった。
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Development Growth and Differentiation
巻: 53 ページ: 653-667
doi:10.1111/j.1440-169X.2011.01279.x
巻: 53 ページ: 668-678
doi:10.1111/j.1440-169X.2011.01274.x
http://fsosato.w3.kanazawa-u.ac.jp/index.html