研究課題
申請時において、PIP5KγがNMDA刺激により活性化されること、またAMPA受容体-TARP複合体がAP-2およびAP-3に結合すること示すデータを得ていた。このことはAMPA受容体の細胞内輸送がPIP5KγやTARPそしてAP-Complexによって巧妙に制御されている可能性を示唆している。つまり、神経細胞がLTD誘導刺激を受けると、PIP5Kγが活性化されPIP2が合成される。PIP2により細胞表面にリクルートされたAP-2とTARPが結合することによりAMPA受容体のエンドサイトーシスが起こり、その後、TARPがAP-3と結合することでリソソームへ送られることでAMPA受容体はリサイクルされることなく分解され、長期にわたって細胞表面のAMPA受容体量が減少してLTDが誘導される可能性がある。本申請研究はこの仮説を立証することを目的としていた。この目的を達成するため、PIP5Kγの機能を阻害した神経細胞、TARPとAP-2との結合を阻害した神経細胞、あるいはTARPとAP-3との結合を阻害した神経細胞において、AMPA受容体の細胞内輸送やLTDの誘導・維持に異常が生じるか否かを解析して来た。その結果、PIP5Kγの機能を阻害した神経細胞ではAMPA受容体のエンドサイトーシスは引き起こされず、また電気刺激によってもLTDは引き起こされなかった。これの結果はNeuron誌に掲載された。またTARPとAP-2との結合を阻害した神経細胞、あるいはTARPとAP-3との結合を阻害した神経細胞においてもAMPA受容体のエンドサイトーシスやLTDの誘導が阻害されることを明らかにした。さらにAP-2およびAP-3をノックダウンした神経細胞においても同様であることを明らかにした。これらの結果は現在Neuron誌に掲載を目指し、改訂中である。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
European Journal of Neuroscience
巻: 35 ページ: 402-410
Neuron
巻: 73 ページ: 135-148
DOI10.1016/j.neuron.2011.09.034