研究課題
ゼブラフィッシュ胚が触覚刺激に対して示す逃避行動をモデル系に用いて、脊椎動物の体幹運動制御に必要な後脳神経細胞を明らかにする。その為に、Gal4-UAS遺伝子発現法とCre-loxP遺伝子組み換え法を組み合わせて特定の後脳領域、あるいは特異的な細胞の機能を阻害する手法を開発する。これに必要なトランスジェニックCre系統をBACトランスジェネシス法を用いて作製する。また、Creによる組み替えに依存して発現する神経毒素遺伝子TeTxLCを保持したトランスジェニック系統を作製する。これらを用いて、特異的な後脳機能を阻害した胚の運動異常を検出し、特異的な後脳領域、後脳細胞とその体幹運動制御における機能を対応づける。ロンボメア特異的な発現を示す以下の遺伝子を含むBACを利用し、それぞれの遺伝子のタンパク質コード領域にCre遺伝子を導入した改変BACを作製した。分化した神経細胞、あるいは神経伝達物質特異的な発現を示す以下の遺伝子を含むBACを利用し、同様にCre遺伝子を導入した改変BACを作製した。これらの改変BACをTol2トランスポゾンを用いたトランスジェネシス法により、ゼブラフィッシュゲノムに組み込む。それぞれ遺伝子と同様な発現パターンでCreを発現するトランスジェニック系統の樹立を試みた。BAC-Cre系統とmafB-GAL4;UAS-lox-RFP-lox-TeTxLC-CFP系統を交配し、Cre;mafB-GAL4;UAS-lox-RFP-lox-eTxLC-CFP三重トランスジェニック胚を作製し、後脳のmafb陽性領域の機能を阻害した、三重トランスジェニック胚の、逃避運動のアッセイを行ない、逃避方向に変化が現れることを見いだした。
2: おおむね順調に進展している
後脳の特異的領域にGAL4を発現するmafb-GAL4系統を単離し、後脳のロンボンメア5、6が逃避方向の決定に中心的な役割をになうことが示された。
BAC-Cre系統を用いて、後脳のmafb陽性領域の機能を明らかにする。BAC-Cre系統が、期待通りに機能しない場合は、光によって細胞死を誘導可能な、UAS-KR系統を用いて、mafb陽性領域の一部を死滅させ、逃避方向に変化が現れるかを検討する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
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