研究課題
物体色に適応した色の神経情報表現が大脳皮質ニューロンで生じているか確かめるために、本研究では、広色域、広輝度レンジの刺激セットを用いて、サル下側頭皮質の色選択性ニューロンの選択的応答特性の有効範囲を求める実験を行う。本年度は刺激呈示装置の開発、ヒトを対象とした心理実験、動物実験施設の立ち上げと動物の初期トレーニングを完了した。本研究で必要な広色域、広輝度レンジの刺激は一般的なディスプレイでは表示できない。そこで、液晶ディスプレイとプロジェクターを組み合わせることで、刺激の輝度レンジを大きく拡張させる装置を開発した。液晶ディスプレイには画面の裏にバックライトと呼ばれる一様な白色光を放つ板があり、手前の液晶面の透過で画像が作られる。ここでバックライトを取り外し、液晶の裏側からプロジェクターで画像を投影すると、背景光を自由にコントロールできるようになる。プロジェクターと液晶ディスプレイに同一の画像情報を送ると、明るいピクセルはより明るく、暗いピクセルはより暗くなり、広ダイナミックレンジの表示が可能になる。本年度の時点で、一般的なディスプレイより100倍以上表現域が広い1000~0.01(cd/m^2)の同時提示を達成した。また並行して、市販の高輝度液晶ディスプレイを用いて、輝きの知覚と対応する金色知覚について明らかにした。実験は、ヒトを対象としたカラーネーミング法で行い、一様なパッチ画像と光沢表面を模擬した輝度パターンをもつ画像に対して、基本11色名と肌色、そして金、銀、銅、の15単語のどれかで色を呼称する。その結果、金色呼称は被験者間で一貫して観測され、呼称される色度が特定された。金色呼称は基本11色名と同等の安定性があることから、色カテゴリー認知には輝度のパターンが重要な役割を果たすことが示された。
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Journal of Vision
巻: Vol.11 ページ: 4
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