シナプス可塑性が起こっている間、CaMKIIbetaのアクチン結合ドメインにおける燐酸化の役割を明らかにすることを目指して、この1年間で下記のような実験を行い、結果を得た。 1.燐酸化の特性評価 質量分析結果を基に、セリン331と371に対する燐酸化特異抗体を生成し、以下のことを見出した。 1)アクチン結合ドメインの燐酸化反応は既知の燐酸化反応部位Thr287と比べゆっくり起き、キナーゼ反応開始から2、3分で始まる。 2)このドメインの燐酸化反応はinter-subunit mannerを起こす:あるサブユニットは隣接したサブユニットを燐酸化する。 3)セリン331の燐酸化はセリン371よりカルシウム濃度に良く反応する。 2.燐酸化がFアクチン束化とsynaptic targetingに与える影響 1)CaMKIIbetaはアクチン束化活性があるが、活性化されると、この活性を失う。: Ca/calmodulinまたはアクチン結合ドメインの燐酸化模倣変種との活性化でCaMKIIbetaは束化活動をしなくなる。 2)アクチン結合ドメインの燐酸化は束化活動を決定する。:燐酸化防止変種の活性化は束化活動への影響がない。 3)アクチン結合ドメインのSubregion1はアクチン束化活動に最も重要である。 4)アクチン結合と束化活動はCaMKIIbetaのsynaptic targetingに作用する。:燐酸化模倣変種のSpine localizationは野生型または燐酸化防止変種より低い。 3.アクチンのCaMKIIbetaによる束化はアクチンレギュレーターの活動を抑制する。 1)CaMKIIbetaはコフィリンとゲルゾリンがF-アクチンとそれらの切断活動ヘアクセスするのを抑制する。 2)CaMKIIbetaはコフィリンによるアクチンの核生成を抑制する。
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