研究概要 |
1.下丘単一細胞の形態の再構築 Sindbis palGFPウイルスの下丘への微小注入により、3個の下丘興奮性ニューロンの標識に成功し、樹状突起や軸索の3次元再構築をおこない、下丘抑制性ニューロン細胞体への入力を解析した。興奮性細胞はトノトピー構造の基盤たるfibrodendritic laminaにそって軸索を走らせ、10個から30個の下丘抑制性ニューロン細胞体に終末を形成していた。 2.下丘抑制性細胞への入力の解析 聴覚系のさまざまな神経核にSindbis palGFPウイルスを注入し、単一軸索が作る下丘大型抑制性ニューロン細胞体上への終末の接触面積や、接触数を調べたところ、1本の軸索に由来する終末が1個の下丘抑制性ニューロン細胞体表面の2-7μm2を覆っていることがわかった。大型抑制性ニューロン細胞体の表面積はわかっており、この値から、大型抑制性ニューロン細胞体にはおよそ300個程度のニューロンからの入力を受けていることが概算された。 3.げっ歯類以外の哺乳類の下丘における分子発現 ニホンザルや、アブラコウモリの下丘におけるVGLUT1,2、GAD67の発現パターンを調べたところ、どの動物種でも同様に大型抑制性ニューロン細胞体周囲にVGLUT2陽性終末が密に取り囲んでいることが明らかとなった。 4.PV-Creマウスとレポーターウイルスによる下丘抑制性ニューロンの可視化 PV-CreマウスにAd|pG|pT,Ad|pT|pG,Ad||pG||,Ad||pT||ウイルスを注入したところ、Ad|pG|pTが特に逆行性標識を強く示すことが明らかとなった。これを利用しそ、内側膝状体にAd|pG|pTを注入し、下丘抑制性ニューロンを標識する予定である。
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