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2011 年度 実績報告書

神経膠腫細胞浸潤における腫瘍細胞と神経細胞の相互応答の分子基盤

研究課題

研究課題/領域番号 22700375
研究機関東京大学

研究代表者

周尾 卓也  東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (90399006)

キーワード脳腫瘍 / 神経膠腫細胞 / 神経細胞 / メタロプロテアーゼ / プロテオグリカン
研究概要

本研究の目的は,神経膠腫細胞の浸潤先端分子と神経細胞の表層分子との相互応答を解析することで,神経膠腫の治療標的探索へ向け糸口を得ることである.特に膜型メタロプロテアーゼMT-NMP・脳特異的膜型EGFファミリー分子NGC・受容体型チロシンキナーゼErbB系路の解析から神経膠腫浸潤の分子機構の一端を解明することを目指している.これまでに,試験管内の実験から,MT-NMPの作用によりNGCのEGF領域が神経細胞表面に露出しうることを見出した.本年度は,新規に開発された質量分析法によりMT-NMP修飾糖鎖を解析することで,MT-NMPによるNGCを含む標的基質の認識機構を検討した.
タンパク質は糖鎖による翻訳後修飾によりその生理機能が制御されるが,個別のタンパク質の糖鎖構造を解析する簡便で迅速な方法は皆無であった.今回に,液体マトリックス3AQ/CHCAを利用することでMALDI(matrix-assisted laser desorption/ionization)質量分析により,極性の異なるペプチドを一斉に解析しうることを示した.実際に,腫瘍細胞から回収したMT-NMPのトリプシン消化物を液体マトリックス3AQ/CHCAに供してMALDI質量分析したところ,二つのMT-NMP由来糖ペプチドが検出された.さらに,多段階質量分析により特定のセリンおよびスレオニン残基には2個から5個のhexoseおよびN-acetylhexosamineからなる糖鎖がそれぞれ結合していることが確認された.興味深いことに,後者は7つもの差異がある糖ペプチドとして存在することが明らかとなった.
今後は,MT-NMPを修飾する糖鎖の不均一性が基質認識に及ぼす影響を細胞レベルで調べることで,MT-NMPとNGCとの相互作用の機序の解明につなげたいと考えている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに試験管内から細胞レベルの実験系に順調に移行している.
さらに次年度は動物個体での実験系を確立したい.

今後の研究の推進方策

新規に開発・導入した質量分析による糖鎖解析法を活用することで,本研究課題の目的の達成に向け新たな視点を得ることを目指す.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] ZF21 protein, a regvilator of the disassembly of focal adhesions and cancer metastasis, contains a novel noncanonical pleckstrin homology domain2011

    • 著者名/発表者名
      Nagano M, Hoshino D, Koshiba S, Shuo T, Koshikawa N, Tomizawa T, Hayashi F, Tochio N, Harada T, Akizawa T, Watanabe S, Handa N, Shirouzu M, Kigawa T, Yokoyama S, Seiki M
    • 雑誌名

      The Journal of Biological Chemistry

      巻: 286 ページ: 31598-31609

    • DOI

      10.1074/jbc.M110.199430

    • 査読あり
  • [学会発表] Glycan characterization of MT1-MMP, an invasion-promoting metalloproteinase, by MALDI-digital ion trap mass spectrometry2011

    • 著者名/発表者名
      Takuya Shuo
    • 学会等名
      Seventh General Meeting of the International Proteolysis Society
    • 発表場所
      USA/San Diego
    • 年月日
      2011-10-19
  • [学会発表] MALDI質量分析における液体マトリックス3-AQ/CHCAを用いた細胞膜貫通型メタロプロテアーゼMT1-MMPのO-結合型糖鎖修飾の解析2011

    • 著者名/発表者名
      周尾卓也
    • 学会等名
      第59回質量分析総合討論会
    • 発表場所
      大阪府吹田市
    • 年月日
      2011-09-14

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公開日: 2013-06-26  

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