昨年度までにKeimaを用いてオートファジー、ミトコンドリアオートファジー(マイトファジー)を検出、可視化、定量化する方法を確立し、発表した。本年度はミトコンドリア局在型mt-mKeimaを発現するトランスジェニックマウスを作製し、個体内、特に中枢神経系でのマイトファジーの検出と可視化を試みた。 このマウスを用いることで個体内でのマイトファジー活性を明らかにし、異常ミトコンドリアの除去と疾患との関連性についての解析が可能になるものと期待される。また、特に黒質でのそれらの動態を観察することで、なぜパーキンソン病において黒質のドーパミン作動性ニューロンが選択的に変性、脱落しているのか?この部位のミトコンドリアとマイトファジー活性は他の中枢神経細胞と異なるのか?という問いに対する回答が得られるのではないかと期待される。 共同研究者である理化学研究所CDB 変異マウス開発ユニットに依頼して、mt-mKeimaをコードする遺伝子をRosa26領域に導入したノックインマウスを作製し、このマウスでの蛍光タンパク質プローブの発現を解析した。組織スライス、皮膚組織からの初代培養系などを用いてmt-mKeimaの蛍光を観察したが、残念ながらその発現は極めて低く、in vivo、in situイメージングには使用不可能なレベルであった。現在、この点を改良するため、新規プローブの開発と発現方法の改善を進めている。
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